「植治(うえじ)の庭」とは? 魅惑の平川市オーベルジュ建設計画を調査する

庭師の訓練

先月くらいでしょうか、以下の新聞記事で造園科内は騒然となりました。

2020/6/7付の陸奥新報(長文そのまま掲載)
平川にオーベルジュ 2021年9月開業へ
平川市碇ケ関に建設が計画される温泉付き宿泊施設の地鎮祭が6日、建設予定地で行われた。
施設名は「auberge(オーベルジュ)音羽離宮」で、メインとなるレストランは日本有数のフランス料理シェフ
音羽和紀さんが料理顧問を、ミシュランガイド一つ星を獲得した音羽さんの次男創さんが料理長を務める。
宿泊施設は、自然に囲まれた郊外で地元食材を生かした料理と酒を楽しみ、宿泊もできるレストランメインの「オーベルジュ」スタイルで、県内初。
音羽さんは、世界のホテルやレストラン約580軒が加盟する世界組織「ルレ・エ・シャトー」で、最も活躍したシェフに贈られる「シェフトロフィー2019」を日本の加盟施設として初受賞するなど、世界でも有名なフランス料理シェフ。
料理長を務める創さんのほか、栃木県に本店を構えるフランス料理店「オトワレストラン」シェフで長男の元さんも携わる。
天皇陛下が皇太子時代にパティシエ担当をしていた有野孝さんがデザートを担当するなど、豪華な顔触れが関わる。
10ある宿泊部屋はすべてレイアウトが異なり、9室が客室用露天風呂付き、1室は吹き抜けの内風呂となっており、碇ケ関の温泉も楽しめる。
庭園にも力を注ぎ、御庭植治(本社京都府)作庭師で植治次期12代目の小川勝章さんが手掛ける。
地鎮祭には運営する観山(本社平川市)の齋藤淨教代表取締役や関係者ら約30人が出席。神事後、
齋藤代表取締役は「ここにくるまで7年の歳月がたった。壁はまだあるが、県内初のオーベルジュ実現に努めていきたい」と話した。
来年9月に竣工(しゅんこう)披露式典を行って開業する予定。

いやーすごいです。日本有数のフランス料理シェフだの、なんとかの世界組織だの、皇太子のパティシエ担当だの・・
このコロナの時代に「これでもかっ」というくらいバブリーな要素てんこ盛りで、感動すら覚えます。
でも造園科内で騒然となった理由はそこではありません。植治(うえじ)というキーワードに皆さん勢いよく食いついたのです。

造園科の教科書「造園施工必携」です。
この中で明治時代を代表する造園家として京都の植治こと小川治兵衛についての記載があります。
以下抜粋
 無鄰菴は京都の植治こと小川治兵衛につくらせたもので、
 東山の借景と琵琶湖疎水を引き込んだ流れの手法を取り入れた、
 明るい自然風の庭園として有名である。
 植治はほかにも平安神宮神苑、野村家別邸(碧雲荘)などの庭を造っている。
 借景、流れ、軽やかな配石、広々とした芝生とその中を縫う曲線的な園路と
 いった植治独特の作庭手法がいずれの庭にも見ることができ、
 明治という新しい時代にマッチした明るい解放感はそれまでの庭園形式と
 一線を画すものであった。

そうなんです。植治さんというのは凄い人なんです。
近代日本庭園の先駆者とされる作庭家であり、植治の屋号は現在に至るまで代々「小川治兵衞」の名前を受け継いで連綿と続いているんです。

植治 [小川勝章 植治(小川治兵衞)次期十二代]|御庭植治株式会社 京都市東山区
植治(小川勝章:第十二代小川治兵衛)|御庭植治株式会社|小川勝章がプロデュースする庭園の造園・設計・施工・管理・企画・コンセプト立案・監修、庭園に関連するイヴェント催行(作庭型ワークショップ等)や講演など

上記の公式サイトを確認すると、現在は十一代目で次期十二代も小川 勝章さんという方で決まっているようです。

これは大変興味のある話となったわけです。
造園科内の検討会議の結果、建設予定地は私が自宅に帰る途中にあることから、私が現地調査をすることが決定されました。

碇ヶ関の道の駅を過ぎて少し行って、長明庵という蕎麦屋さんを過ぎたところで左折し三笠橋という細い橋を渡ります。

碇ヶ関温泉会館が見えてきます。
ここを左折していくと・・・・・

工事現場が見えてきました。相当に広い現場で奥の方では基礎工事が始まってます。

確かに、「オーベルジュ音羽離宮」は建設中でした。予定では令和3年8月20日竣工です。確か9月開業ですね。
コロナの影響が懸念されますが、無事に完成することを祈ってます。
おそらく宿泊限定でしょう。開業したら必ず泊まりたいと思います。



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