造園科の卒業研究「作庭実習」に挑む ⑥大石武学流庭園編

庭師の訓練

大石武学流庭園については、以前にこんな記事を書きました。

そして今回紹介するKさんのテーマはこちらです。

【テーマ】 習作 大石武学流(庭前)
【テーマの説明】
2020年3月弘前市で3か所、成田氏庭園(樹木)、對馬氏庭園(折笠)
須藤氏庭園(青松園)(前坂)の家庭園が国の名勝に指定された。
その作庭技法を本歌とし写しから学びを得る。
【施工のポイント】
空間構成や構造物のパターンを踏襲し、その精神性を想像する。


いいと思います。テーマの文面から津軽文化への敬愛の念が感じられます。
Kさんは、私のような付け焼刃とは異なり、大石武学流について熱心に勉強してきてました。
以下は、説明された大石武学流の定義(H30弘前市文化財課)です。
①飛石列⇒礼拝石⇒池⇒築山(滝石組)等の鑑賞上の軸線を有するもの。
②庭前において軸線を挟んで、つくばいと二神石の空間を配置するという構成をもつもの。
③宗家が関与したもの。

宗家とは流派を継承する庭師のことで、宗家の指名により次の宗家が決まります。
大石武学流の形式や技術はそのように代々の宗家に脈々と受け継がれてきたとか。
自分の子供と限らないので一子相伝ではないですが、 指名した相手に相伝授受で伝えられるということですね。


Kさんが今回モデルに選択したのは、3名の宗家が関与したといわれる大石武学流庭園の代表ともいえる瑞楽園。
その中に「本庭」というのがあって、その「本庭」の手前の方を「庭前」というそうです。
上のイラストの青い線の手前側です。
そして「庭前」の部分を、実習場の30㎡の中に作庭したいということです。

完成しました。 4つの飛石の先にあるのが礼拝石。
そこから先の黄色の線の向こうは本来何もない想定なんですが、資材置き場状態が見えてしまったのは残念。
それでも空間構成や構造物のパターンを可能な限り踏襲し、満足できる作庭だったと思います。



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