現存する江戸初期の大名庭園「旧芝離宮恩賜庭園」に行く

大名庭園

ホテルニューオータニ庭園に行った翌日、もうひとつ「旧芝離宮恩賜庭園」に行ってきました。

最初に豆知識習得のため、庭園名について整理しときます。
浜離宮と似た名前ですが、成り立ちは全く違ってます。
まず、
「離宮」とは 皇居宮殿の別邸・別荘 
「恩賜」とは 天皇・主君から賜ること
です。
大名庭園なのに、なぜ「離宮」「恩賜」なんでしょうか?

元々は小田原藩主大久保家の上屋敷に作られた「楽寿園」という庭園でした。
その後に数氏を経て
幕末)紀州徳川家の芝御屋敷に
明治4年)有栖川家の所有に
明治8年)宮内省が買い上げ芝離宮に
大正13年)昭和天皇ご成婚記念で東京市に下賜

現庭園名は以上の変遷の結果ですね。
現在は都立の文化財庭園として管理されてます。

場所はここです。
浜松町駅とほぼ一体化してて、アクセスは史上最高ではないでしょうか。
  

浜松町駅北口を出ると、すぐに入り口です。
いや本当に至近距離です。
 
  

それでは入ってみます。
  

広さは将軍の庭・浜離宮に比べれば六分の一くらいなので、短時間でまわれそうです。
左回りで、ざっと見てきます。
  

  

入り口には、こんなものもありました。
「今日の庭仕事」どこで何をしているか を掲示してます。
さすが予算が潤沢にある都立庭園だなあと感じます。
  

入ってすぐの光景。やはり浜離宮同様にシュールです。
奥の高層ビルは東京ガス本社ビルです。

 

かつては海面だった地を埋めたてて造られた、典型的な「池泉を中心とした回遊式庭園」です。
  

雪見灯篭・州浜エリアにきました。
州浜とは、池や流れを海や河に見立てる時、岸辺の表現として石を敷き詰めた面をつくるものです。
ここの州浜は楽寿園(大名庭園)時代からのものだそうです。
  

大山に来ました。
ここがビューポイントのようですので上ってみます。
  

こじんまりした山ですが、庭園内では最も高い築山になります。
  

大山の頂上から大泉水(池)を見る。
池は昔は海水を引いた潮入りの池でしたが、現在は淡水の池になってます。
奥に見える通路は2026年使用開始予定の歩行者デッキで、
左側の浜松町駅と右側にあるオフィスビル・高層マンションを繋いでます。
屋根付きですから、雨の日でも庭園を眺めながら通勤や散策を楽しめるとは贅沢ですね。


大山の奥の方には、こんな植栽エリアもありました。


  

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」 の牡丹です。
ちなみによく似てますが、芍薬は草花、牡丹は低木です。
  

これは里桜の「フゲンゾウ」というサクラ。
やや遅咲きでソメイヨシノが終わった後に咲くようです。
  

見どころのひとつ「枯滝石組」です。
「さえぎられた奥には滝があって手前に向かって強い水の流れを感じる」かのように石組みされています。
でも実際には奥には何もないのです。
イマジネーションを想起させるんです。
油断してるとただの通路かと思ってしまいますが、後から計算しつくされた美しさに感動します。


大山から下りて、大泉水(池)を見る。
小田原から来た庭師たちが作庭した当時、こんな借景を望む庭園になるとは想像もできなかったと思います。
この光景を「破壊されていて庭園鑑賞には向いていない!」という人もいるようです。
でも私は、これはこれで趣きあると思います。


あずまやから大山方面を見る。
このアングルだと浜松町駅方面の既存自由通路(改修中?)の辺り、あまりきれいな光景とはいえません。
借景が近代的なビル群だとギャップが新鮮でシュールな美しさを感じますが、中途半端な建造物だと違和感はありますね。
  

何気に・・・サギもやってきます。
   
  

橋を渡って中島に行ってみます。
  
  

中島の蓬莱石組。
これは中国で仙人が住むといわれた蓬莱山を模した石組とのことです。
  

しっかりカメもいました。
  

藤棚がある入口付近まで戻ってきました。
花はこれからですが咲き始めてます。


    
浜離宮ほどの知名度はありませんので、あまり混んでない印象です。
でもアクセス最高で、短時間でまわれるんで浜離宮ほど体力を消耗しません。
芝離宮、おすすめしたい大名庭園です。

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