先日、以下のイベントが能代市の「旧料亭 金勇」で開催され、私も受講者として参加してきました。

料亭 金勇とは・・・
初代金谷勇助(かねや ゆうすけ)氏が明治23(1890)年に創業。
木都能代を象徴する建物で、県内屈指の料亭として各種宴会や接待、婚礼などに広く使われた。
現在の建物は、昭和12(1937)年 2代目金谷勇助氏によって建てられ
平成10(1998)年10月26日に国登録有形文化財に登録された。
その後、平成20(2008)年8月末に閉店。翌21年に能代市に寄贈された。
ということで、かつて栄華を極めた材木業界の迎賓館として、取引先を接待するために建てられた建物です。
昔の能代は凄かったということです。
金勇はどちらかというと歴史的建築物としての価値が高いのですが、今回は庭を中心に記録します。

隣接するイオン能代店に駐車し、外に出ると
すぐに重厚な数寄屋造りの建物が見えてきます。
この壁の間から中に入れそうなんですが・・・

あえて、そのまま進んでいき・・

こちらの正門から入ります。

料亭の定番「門被りの松」がお客様を迎えてくれます。
正統派の雰囲気あります。
外壁が二重構造になってますね。
右手に見えるのは、訪問者を迎えるための庭、
そして左奥には、客室から愉しむ庭が確認できます。

最初は左手の裏木戸から、直接庭に入ってみます。

入ってすぐの東屋の中から、建物を見る。
こちらが南側の主庭園、中心部は枯山水になってます。

周囲の園路に沿って進みます。
敷石は現代風なので、後から整備されたものかもしれません。

園路の途中で、庭越しに建物を見る。
1階が中広間の「満月の間」、
2階が広さ110畳の大広間になってます。

敷地内はモミジの高木が多く、紅葉の時期は素晴らしいでしょう。

印象的な雪見灯篭もありました。
大仙市、旧池田氏庭園の灯籠によく似ています。

1階「満月の間」の縁台から庭を見る。
作庭当初は実際の池があったそうです。
癒される空間です。
市民に一般公開されているので、
日常的にこの縁台に座って寛いだり、絵を描いたりしてる方もいるとのことでした。


2階に上がって、大広間の廊下から庭を見る。
ドウダンツツジも多いです。
11月頃にはモミジと共に真っ赤に染めあがることでしょう。

2階大広間での講座会場です。
今年の目玉イベントということで、当日は140名もの受講者が集まりました。

さきほど外から見た、1階「満月の間」にも入ってみます。
天井の1枚板が見事で、5間(9.1m)もの長さがあります。
金勇は戦時中陸軍の兵舎に徴用されましたが、この部屋は下士官が使用したとのことです。

「満月の間」から庭を見る。
見事な額縁効果を感じます。

「満月の間」を出ると廊下越しに「川風の間」という小座敷が覗けます。
この構図は洒落ていて、訪問客に人気があると伺いました。
左手から中に入ってみます。

「川風の間」の入り口付近には、蹲踞が置かれており茶室として使用されていたことがわかります。
赤の矢印のところは露地からの入り口になっています。

「川風の間」です。
3代目当主が好んだといわれる、欄間の「割水の文様」が特徴的です。

蹲踞の左手にある「田毎の間」です。
かつての政財界の重鎮たちが商談に利用した部屋で、当時の会食の様子が常設展示されています。

「田毎の間」の広縁からも庭が望めます。
こちらは北側でもあり、茶室につながる露地の雰囲気がある庭です。

少し拡大すると、左奥に木戸があります。
当時お忍びで来るお客様は正門は通らずに、この木戸から露地を通って「田毎の間」に入ったそうです。
「旧料亭 金勇」
時を超えて能代の人々に愛されてきた遺産であることが理解できました。
今回、少しだけ料亭文化にも触れることができた気がします。

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