庭の景色の中に置く構成物を、庭の添景物という言い方をします。
添景物とは、石灯籠、蹲踞、筧など様々なものがありますが
中でも音を愉しむ代表的な添景物、鹿威しについては以前書きました。
以下のリンクで、私が以前作成した鹿威しの音色を聴くことができます。
そして鹿威しの他に、音を愉しむ仕掛けとして、「水琴窟(すいきんくつ)」について
かつて造園科の授業で学びました。
添景物ではなく仕掛けと表現したのには理由があります。
水琴窟は庭の要素として見えるものではなく、地中に埋められた仕掛けだからです。
水琴窟とは
蹲踞(つくばい)の地下に造られます。
構造的には底に小さな穴を開けた甕(かめ)を伏せて埋め、手水の水鉢の余水が甕の天井から「しずく」となって落ちるように工夫した、一種の発音装置です。
伏せ甕の底に溜まった水面に落ちる水滴の音が甕の空洞で共鳴し、琴の音に似た妙なる音を響かせることから、いつの頃からか水琴窟と呼ばれるようになったそうです。
ネットで調査したら、日本水琴窟フォーラムという学術会議のようなサイトがありましたのでリンク先を記します。
水琴窟がいかに素晴らしい日本文化であるかについて、様々な角度から述べられてますので興味のある方は確認お願いします。
(残念ながら2006年くらいから更新はないようで、現在も活動中かは定かではありません)
そしてこの度、当ブログ専属レポーターのNさんより、藤田記念庭園の水琴窟の画像と音声データが届きましたので紹介します。
水琴窟への入り口で、ここから先は茶庭(露地)になっています。
飛石に足を踏み入れると徐々に奥深くなる山里の風情を感じながら俗世間から離れ・・・・・
茶事に際して心身を清めるための蹲踞(つくばい)にたどり着きます。
水が流れ落ちている手水鉢の手前には、こぼれた手水を受けるため砂利などを敷き詰めています。
これは海(うみ)と呼ばれます。
この下に水琴窟が作られているわけです。
ところで、上の画像は水琴窟の蓋をはずしての泥上げの作業風景。貴重な画像です。
最近お客さんから「音が聞こえない」と問い合わせがあり、砂利を取り除きカメの中を点検したらオーバーフローに「泥や落ち葉」が詰り音響効果が今一だったようで、ちょうどいいタイミングで掃除をして頂くことになりました。
庭園スタッフの皆様には本当に感謝です。
以下が、音声データです。
藤田記念庭園、水琴窟の音色をお聴きください。
ご清聴ありがとうございました。
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